自分の感情的な言葉で姉妹を傷つけてしまい、
それ以来、自分の意見を話すのが怖くなり、
言いたいことが言えなくなりました。
どうしたら、感情に振り回されず自分の気持ちを伝えられますか?
自分迷子な大人女子さんに、「わたし」を生きる最高のよろこびを。
オランダ在住カウンセラー、コバヤシアキコです。
ご相談:「私の言葉で人を傷つけてしまう」
今回は、オンラインカウンセリングサイト「ココロノマルシェ」に寄せられたご相談にお返事します。
私の言葉で人を傷つけてしまう
こんにちは。ここ数年悩んでいるのですが、どうしたらいいのか苦しくなってきてしまい、相談しました。
私が21の時に両親が離婚してから数年、私は仕送りを続け母のサポートをしてきました。しかし妹はその間あちこち旅行にいったり専門学校に通い直したり自由に生活を続け、姉は定職につかず借金をつくったり男の人と揉めたりと、問題ばかり起こしていました。
家族で集まる機会があったときについ、私はこんなに頑張ってるのに!みたいな話をしたところ、姉や妹と距離ができてしまい、姉は自分責めをして自傷までするようになってしまいました。
あの時はごめんねと謝り、いまは壊れてしまった姉の心の様子を見ながらコミュニケーションをとっていますが、それ以降言いたいとこをうまく言えなくなってしまいました。
妹はいまも私を避けているようで、時々実家で顔を合わせますが昔のように仲良くなんでも話せる関係ではなくなってしまいました。
私はただ自分も辛い、頑張ってるのをわかってほしかっただけなのですが、うまく伝えられなかったのだと思います。
今は家族に対して何を言ってもダメかなと感じたり、自分の意見を話すのが怖くなり、家でも職場でもほとんど話さなくなりました。
話さないと分からないから、と母にも上司にも言われますが、何を話したらいいのか分からないのです。
アサーションという言葉?コミュニケーションの取り方があるのも勉強しましたが、上手くできる気がしません。
どうしたら、感情に振り回されず自分の気持ちを伝えられますか?
(ちるさん)
ちるさん、こんにちは。
オランダ在住カウンセラー、コバヤシアキコと申します。
ご相談は、
どうしたら、感情に振り回されず自分の気持ちを伝えられますか?
ということでした。
お姉さんや妹さんへの感情的なコミュニケーションが、二人を傷つけてしまったことの責任を強く感じ、
以来、コミュニケーションが怖くなってしまったので、
同じ過ちを繰り返さないために、と、このようにご相談くださったのかなと思います。
ちるさんは、責任感が強く、とても優しい方ですね。
お姉さん、妹さんが大好きで、とても大切に思っていらっしゃることが伝わってきます。
私からのお返事では、
そもそも、それはちるさんだけの責任だったのかな?というところから、
ちるさんが、ご自分を「許し」て、コミュニケーションの怖さを取り除くことを考えつつ、
より具体的なコミュニケーションの方法や、
これからのお姉さんと妹さんとの関係についても考えてみます。
お役に立てれば嬉しいです♡
相手が傷つくかどうかは、相手次第。コミュニケーションは、お互いさま。
まずは、
ちるさんが、自分の意見を話すのが怖くなったきっかけのできごとに目を向けつつ、
「相手が傷つくかどうかは、相手次第」
「コミュニケーションは、お互いさま」
ということを考えてみます。
ちるさんが、「私はこんなに頑張ってるのに!」と吐き出した時、
お姉さんや妹さんは、自分たちがちるさんをそこまで追い詰めていることに、
はっきりと気づいたのではないかと思うのですね。
で、二人とも、そこで、
「そうだよね、ちるさんだけに頑張らせてごめんね、ちょっと頼りすぎちゃったよね」みたいに、
ちるさんの状況をただ理解する、とか、受け止めることは、なかなかできなかったみたいです。
なぜかというと、
二人はそこで、理解する・受け止めるかわりに、
ちるさんばかりにたくさんの犠牲を強いてきたことへの「罪悪感」の方を、強く感じたのかもしれないな、
と思うのですね。
(罪悪感に引っ張られずに、ただ理解する・受け止める、というのは、
実は心の成熟性を必要とします。
なので、お姉さんや妹さんに、その成熟性がまだちょっと育っていなかったのかも、
とも考えられます。)
強い罪悪感を感じる時、人は、その相手から距離を置こうとします。
その相手の近くにいればいるほど、自分がどんな酷い人間かを思い出すことになりますのでね。
申し訳なさ過ぎて、顔も見られない、みたいな感じとも言えます。
お姉さんや妹さんは、そんな状態じゃないかな?と想像するのですね。
もしここで、
お姉さんや妹さんが、罪悪感に引っ張られずに、
「そうだよね、すごく頑張ってくれてるよね」みたいに、ちるさんをただ理解したり、受け止めることができていたら、
今、ちるさんが責任を感じているような距離とか姉妹の関係には、なっていなかったのではないでしょうか。
今、ちるさんは、
ご自身の感情的なコミュニケーションが、お姉さんや妹さんを傷つけて、関係を壊してしまった、と、
一人で責任を感じていらっしゃるかと思いますが、
実は、同じコミュニケーションでも、
相手の受け取り方や傷つくかどうかは、こちらからの投げかけ方だけでなく、
相手の状態によっても変わってくるのです。
つまり、
相手が傷つくかどうかは、相手次第、だし、
コミュニケーションは、お互いさま、なのですね。
(もちろん、
だからといって、何でも好きなことを好きなように言っちゃえばいい、
というわけではないですけどね!)
これは、ちるさんが、ご自身を「許す」ということ。
上でお話したのは、
ちるさんが、ご自身を「許す」
ということでもあります。
自分で自分の失敗が許せず、それを責めていると、当然、
また同じことをしてしまったらどうしよう?
また誰かを傷つけてしまったらどうしよう?
と怖くなりますよね。
今、ちるさんが、
自分の意見を言うのが怖くなり、何を話したらよいのか分からなくなってしまったのは、
まさにそんな状態かと思います。
上でお話した、
「相手が傷つくかどうかは、相手次第」、「コミュニケーションは、お互いさま」、というのは、
その状態を「緩め」て、また自然体でコミュニケーションができるようになるための視点です。
それはつまり、
ちるさんは、自分一人だけで責任を背負う必要はないし(そもそもそれはできないし)、
なので当然、数年前のできごとについても、ご自分を「許し」てあげて良いし、
なので当然、自分の意見を伝えることをことさらに怖がる必要も、実はないのです、
ということなのですね。
(ちなみに、「許す」と「緩む」は語源が同じなんだそうです。)
お姉さんと妹さんが強い罪悪感を感じたのは、ちるさんが大好きで、大切な人だから。
でも、やっぱり、
もし、もっと冷静に、感情に振り回されずに話ができていたら、
そんなに強く罪悪感を感じさせなかったかもしれないのに、
お姉さんも妹さんも、理解したり受け止めやすかったかもしれないのに、
自分を「許す」なんて、やっぱり難しい、
でしょうか?
確かに、そんな側面もあるかもしれません。
あからさまに罪悪感を刺激するような、非難するような攻撃的な物言いをすれば、
やはり相手も罪悪感は感じやすくなるかとは思います。
が、ご相談文に書いてくださったようなケースでは、
どれだけ冷静に伝えても、お姉さんも妹さんも、そこそこ罪悪感を感じるのではないかなぁ、
と思ったりもします。
それはなぜかというと、
大好きで大切な、ちるさん(と、お母さん)に関わることだから、
です。
もし、二人にとって、ちるさんやお母さんがそれほど大切な存在でなければ、
ちるさんが苦しさを吐き出しても、そこまでの罪悪感にはならなかったのでは、
と思うのです。
二人にとって大切な存在である、ちるさんお一人に、苦しい思いをさせてしまった。
大切なお母さんのサポートを、ちるさんに任せきりにした。
それが、お姉さんや妹さんの罪悪感なのではないかと思うんですね。
その意味では、
ちるさんも、二人を傷つけた罪悪感を持っているし、
二人も、ちるさん一人に負担を背負わせた罪悪感を持っていて、
今のちるさんたちは、罪悪感という感情で繋がっている状態、
と見ることもできると思います。
私はここでは、
「傷つけた、負担をかけた」ことの「罪悪感」の視点ではなく、
「お互いが大切だからこそ、今この状態になってるのね」と、
「愛」の視点で、今の状況やお姉さんや妹さんを理解してあげられると良いんじゃないかなぁ、
と考えます。
結果として今はちょっと距離ができたままだけど、
そもそもは、大切な家族・姉妹だからこそ、こうなった。
そう見てあげられると、また少し、「緩む」ことはできないでしょうか?
(ちなみに、
お姉さんの自傷についても、ちるさんは強い罪悪感を持っていらっしゃるかと思います。
詳しいところは分かりませんが、私は、
お姉さんは、ちるさんの発言以前から、いろんな難しさや問題を抱えていらっしゃったのでは?
と想像しています。
ちるさんの発言は、いろんなことのタイミングが重なった中の一つで、
その積み重ねが、自傷に繋がったということではないかな?と。
なのでこれも、
ちるさんの発言のせいで自傷が始まったわけではないのではないかなぁ、
と思っています。)
もうちょっと具体的なコミュニケーションについて。
ここまで、
「相手が傷つくかどうかは、相手次第」、「コミュニケーションは、お互いさま」、という、
ご自分を「許す」視点を持つことで、「また誰かを傷つけるのでは」という怖さを「緩め」る、
というお話をしてきまして、
これができてくると、それだけでもコミュニケーションが楽になるのではと思いますが、
最後に、もう少し具体的なコミュニケーションの方法について。
アサーションも学ばれているのでご存じかもしれませんが、
私の言葉でお話してみます。
①「私は」を主語にする。
例えば、「なんで(あなたは)分かってくれないの?」だと、いかにも非難する感じになってしまうので、
相手は罪悪感を感じやすくなりますよね。
すると、
相手もついこちらを避けたくなったり、自己保身のために攻撃的な反応が返ってきたり、
関係がぎくしゃくしてしまいます。
そこで今度は、「理解してもらえたら、(私は)嬉しい」と、自分を主語にしてみます。
すると、
理解するかどうかの選択は相手に委ねて相手を尊重し、
感情的になることなく、自分の気持ちを表現できているのは分かるでしょうか?
②できれば、ポジティブに。
例えば、「分かってもらえていない気がして、(私は)悲しい」だと、
「私は」が主語になってはいますが、ネガティブな表現になっていますよね。
で、ネガティブな表現というのは、
「私は」が主語であっても、やっぱり相手は罪悪感を感じやすくなります。
ここでまた先ほどの、「理解してもらえたら、(私は)嬉しい」。
同じことの表現ですが、ポジティブで、相手もずっと受け取りやすいと思いませんか?
ごくシンプルに書きましたが、こんなところをおすすめしたいなと思いました。
で、繰り返しになりますが、
「相手が傷つくかどうかは、相手次第」、「コミュニケーションは、お互いさま」、です。
自分がどれだけ配慮しても、傷つく人はやっぱり傷つくし、
そこには、こちらの責任だけでなく、その人の事情もたくさんあります。
お話したノウハウを意識してみる時も、
その大前提として、これらのことを頭の片隅に置いてみていただけると、
「怖さ」を減らしながら、自信を持ってコミュニケーションできるようになるのではないかと思います。
とっても応援しています♡
だいぶ長くなりましたが!
何かしら、ちるさんのお役に立てていれば良いなと願っています。
ちなみに、
ご自分を「許す」「緩める」ということができてくると、
コミュニケーションの怖さが減って、自分の意見を話すのが楽になるだけでなく、
お姉さん・ちるさん・妹さんを縛っている「罪悪感」を「緩める」ことにもなるので、
3人の関係にも変化が出てくるのでは?
とも思います。
その意味で、
ちるさんは今、数年前のできごとから「卒業」し、
新しく、より自信を持ったコミュニケーションや、より絆の深い姉妹の関係を作り始める、
そんなところにいらっしゃるのかもしれません。
お手伝いできることもめちゃめちゃたくさんありますので、
良かったらお話聞かせてくださいね!
お読みいただき、ありがとうございました♡
コバヤシアキコ
今日の一枚。
お花もりもりの自転車。